かもす
先日、高校の恩師が造り酒屋の男性を連れて来店された。
男性は二度目で、三月に大学の醸造学科を卒業したとの事で、
そのお祝いであるらしい。お母さんが教え子だそうだ。
その席で、「山廃」「醸す」等の語源が話題となった。
なんでも醸すは「噛む」「噛みす」から来ているらしい。
酒屋の息子さんはさすがに知っていた。
それで気になって「かもす」の字源を調べたところ、字は四つあった。
一部を「字通」より抜粋すると、
『醸』 襄にふくよかの意がある。説文に「(酉へんに温のサンズイをと
った字、かも)すなり」。酒を作るを醸と曰ふ」とあり、次条に、
「酉温は醸すなり」と互訓する。あわせて酉温醸(うんじょう)と
いう。醸は酉温醸してもり上る意。
広辞苑には「かむ」とある。
『酉温』(うん) 「(温のサンズイを取った字)おん」は器中のものが温
められてたちこもる意。酒の醗酵するをいう。
「おん」はうちにこもる意。
『酎』 寸は丑(ちゅう)の省略形であろう。説文に「三たび重ねたる
醇酒なり」とあり、芳醇な濃い酒をいう。
(三度かもした酒、ツクリカヘセルサケ)
『醗』 酵素によってかもすので醗酵という。酒には醗倍(倍のニンベ
ンを取った字、ばい)はつばいという。
(ばい、倍のニンベンを取った字)は、(はい、索の糸の代わりに
子を入れた字)が熟して果となり割さける意。はいにふくれる意
があり、内にひそめられた力が外にあらわれる意がある。
「かもす」のも大変なわけだ。
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